2020年度 活動日誌

3月 活動日誌

2021年3月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

学生の皆さんに好評につき、語学交換クラブを春期も続行することになりました。アンケート調査によりますと、全員、親しみやすくお互いを助け合う雰囲気の中で 語学を学び発展させていくことが楽しみとなっている様です。

春のこの時期は日本では新しい学年が始まる時です。UKの学生にとっては、この時期は5月から6月初旬に行われる学年末試験に備え、試験勉強が始まります。

ロンドンのロックダウンは徐々に暖和されて来ています。しかし、イギリス政府は国民に自己規制を解放しすぎない様に注意を呼びかけています。こういう時代を生きている私たちですが、SOASの近くに位置するラッセルスクエアーには、日光浴を楽しみに来た人たちが、水仙やリスに歓迎されています。

  

Russell Square just round the corner from SOAS

2月 活動日誌

2021年2月28日
GJOコーディネーター 田口 和美

2021年2月のレポートは1月に開始した語学交換クラブがどの様に発展しているか、その発展の様子をお届けします。

2月は2?4度目のミーティングを行い、現在、順調に進行しています。ズームのブレークアウトルームの機能を使い、クラスをいくつかのグループに分けます。そして各クラスルームでは学生各自が興味のあるトピックを話し合います。トピックが途絶えた時のために、いくつかのトピックを事前に用意して、学生に伝えます。グループ分けは毎回メンバーが変わる様にしています。

オーガナイザーとしての役目は、ズームのクラスルームの設定、学生をズームのクラスルームに招待し、クラスルームにグループ分けする作業です。私はメインのクラスルームにいて、もし何かあった時のために備えています。1時間の語学交換をなじみやすい環境で行うというのが目的です。語学交換に毎回参加するレギュラーも出来、非常にいい感じの雰囲気で、学生も徐々にお互いを知り始めてきた時期です。順調に進展していて、非常に嬉しい限りです。

学生からの要求があれば、3月も続行しようと思います。

1月 活動日誌

2021年1月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

新年あけましておめでとうございます。

2021年1月のレポートはGJOロンドンオフィスが立ち上げた語学交換クラブについてです。

当日は12名の日本人学生と7人の英語圏の学生が参加してくれました。初めてのミーティングでしたので、最初に自己紹介を英語と日本語の両方で行ってもらいました。ズームミーティングの主催者になるのは初めてでしたので、少し緊張気味でしが、順調に始めることが出来ました。

ミーティングの制限時間が40分なのであっけなく終わってしまいました。ラッキーにも半数の参加者は再度、戻ってくることが出来、これからどの様に語学交換クラブを発展させたいかを話し合いました。

どの様に発展するか、将来のレポートに書くつもりです。

12月 活動日誌

2020年12月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

12月のロンドンレポートは、SOAS博士号課程の学生のジョージさんへのインタビューです。ジョージェット?ヌメリンさんに研究の進展具合に関し、質問しました。

1) 自己紹介をおねがいします。

現在、SOASのPhD課程をパートタイムで研究5年目の段階です。幸運にも2019-2021年の間、UK笹川基金スチューデントシップに選ばれ、支援を受けています。研究やフィールドワークをやる以外には、南ロンドンのパフォーミングアーツ専門の学校で学習支援アシスタントとして働いています。

2) SOASで博士号課程を専攻しようと思ったきっかけはありますか?

音楽と日本語の学士号をSOASで取得し、その時から博士号課程をやるときはSOASでやろうと計画していました。非常に多様性に富んだ教育機関ですから、通常とはかけ離れた研究課題を選択するのに問題がないということが分かっていたからです。

3) アイヌ文化の研究に興味をもったきっかけを教えてくださいますか?

大学生の時、授業でアイヌ音楽を紹介され、即その美しい音に非常に興味を持ちました。アイヌ音楽をもっと深く聴きはじめ、アイヌ文化に関する文献を読み始めました。大学生の時、1年間留学生として東京のお茶の水女子大学で学んだ時、数回北海道に行き、アイヌ博物館と文化センターを訪れる機会がありました。その後、将来、博士号課程を専攻するときは、現代アイヌ文化に関係のある研究課題をやろうと決めました。

4) 現在、研究課題はどのように進展していますか?

今までの処、研究の進展具合は非常に順調にいっています。博士号課程を始めてから数回、北海道を訪れました。東京で開催されるアイヌ文化関係のイベントで、チャランケ祭りがあります。これはアイヌ?沖縄合同フェスティバルなのですが、参加する機会がありました。現在、かなりの量のデジタル民俗学をやっていまして、アイヌの人たち、日本やその他の国、例えばUSAでアイヌ文化に興味を持つ人たちと交流しています。

コービッド19のため、2020年は日本を訪問できないという問題はありましたが、ありがたくもデジタル民俗学は継続可能で、数回にわたりスカイプを使ってインタビューを実行することができました。ある意味では、パンデミックにより、新しい交流の方法が広まり、オンライントーク、セミナー、学会などが行われるようになりました。自宅勤務の仕事形態に代わることで、夜中に行われるイベントにも参加可能になりました!2021年には日本を訪れることができることを祈っています。

5) アイヌ文化のどういう点に興味を持っていますか?

言語、音楽、霊的儀式と修行、そしてアイヌ刺繍と多面にわたってアイヌ文化に興味を持っています。個人的には、原住民の文化を無視したり忘れ去ったりしないという事が非常に重要だと思います。なぜなら、彼らの持つ知識と伝統は今、最も必要とされているからです。

6) アイヌ語は日本語とかなり違いますか?

アイヌ語は日本語とはかなり違います。アイヌ語は孤立した言語で、他の言語とのリンクが見つかっていません。筆記文字が存在しないので、ローマ字かカタカナが使用されています。アイヌ語は今、ごく少数の人しが話せる人がいないため、絶滅の危惧に直面しています。しかし、ありがたくも、アイヌ語を学ぼうという人が増えてきていますし、現代音楽でアイヌ語で歌った曲を聴くこともできます。ですから、アイヌ語が将来、元気に復活することを期待しています。

7) アイヌ文化を学べる出版物を紹介してくださいますか?

現在、アイヌ文化を学べる良質の書籍が数多く出版されています。下記にあげる文献は私のお気に入りです。

アイヌ文化入門書

Sarah Strong (2011). Ainu Spirits Singing.
Shigeru Kayano (1980). Our Land was a Forest.

もっと学術的文献

Mark Watson (2016). Japan’s Ainu Minority in Tokyo.
Ann-Elise Lewallen (2016). The Fabric of Indigeneity.

アイヌ語

ニューエクスプレス アイヌ語 – 2013
Drops App – this app gives you free Ainu vocabulary
Sekine Maya’s YouTube channel – Sito Channel

アイヌ音楽

Umeko Ando. (2011). Ihunke.
Marewrew. (2012). Mottoite, hissorine.
Oki Dub Ainu Band. (2016). Utarhythm.
ToyToy. (2016). Ramu.

その他

Takeshi Fukunaga. (2020). Ainu Mosir.

8) 他に何か付け加えたいメッセージをお願いします。

世界各地の原住民文化をもっと探求し、彼らの地域社会、文化そして言語を維持し活性化を助ける活動を支援することに重要な意義があります。一旦、彼らの持つ知識が失われると、それは永久に途絶えてしまいます。結果として、それは私たち人類の生活、文化の質が低くなるということです。私たちにとってより公平で持続可能な未来のため、記録を取るだけでなく、原住民社会を実際に支援することが重要だと私は信じています。イヤイライケレ!ありがとう!サンキュウー!

Photos provided by Georgette

Biratori Ainu Museum
Georgette in Biratori
Charanke Matsuri in Tokyo
ToyToy Paper Workshop in Sapporo

11月 活動日誌

2020年11月30日
GJOコーディネーター 田口 和美

11月のロンドンレポートは、SOAS民謡グループの練習に新しく加えられたアイヌ民謡のレッスン風景をおとどけします。

レッスンを率いるのは、現在SOASの音楽部でアイヌ文化についての研究で博士号課程後期にあるジョージ?ヌメリンさんです。

ジョージさんはまずアイヌの楽器、ムックリとトンコリを紹介してくれました。全部手作りで、ムックリは比較的手に入りやすいそうですが、トンコリは入手するのも難しいという事でした。

次に実際に唄を歌う練習です。最初に紹介してくれた曲はピリカ ピリカというタイトルで、ジョージさんがまずお手本を示してくれ、その後全員が歌うという形で、数回練習します。通常、輪唱で謡われるという事なので、一人のマイクだけオンにして後はミュートで各自歌いますが、全員の声が聞こえなくても、やはりみんなで歌を歌うという事は非常に健康にも精神的にもよいことだと痛感しました。

2曲目はメロディーが特徴があり、難度が少し高い曲のように思われました。イタサンカタというタイトルで、これも輪唱で歌われます。アイヌ語を話せなくても、民謡から入っていく手段もあるとふと思いました。

みんなと実際には会えなくても、こうやってズームで音楽活動をできることは、本当に素晴らしいことだと思います。将来、みんなと一緒に練習に集まるとき、輪唱でライブで歌うことを考えると、なんだかワクワクしてきます。

次のアップデートをお楽しみに!

Instruments
Pirka Pirka
Itasankata
Minyo lesson
Minyo lesson

10月 活動日誌

2020年10月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

10月のロンドンレポートはジャパンハウス(最近できたロンドンにある日本文化センターのような場所)が企画したアイヌ民族の文化紹介のウェビナーについて書きます。

パネラーは、ドキュメンタリー?フィルムメーカーで、ニューヨーク在住の日本人女性の溝口なおみさん、北海道?丹生谷に住むカップルで男性は日本人でアイヌ語を教えている関根けんじさんと、パートナーのアイヌ人でアイヌ伝統工芸を教えている関根まきさん、そしてカップルの娘さんで慶応大学の学生で現在、藤沢市在住で、オンラインでアイヌ語を教えている関根まやさんでした。そして、ウェビナーの企画主催をしたロンドン?ジャパンハウス?企画局長のサイモン?ライトさんが司会を務めました。

アイヌの文化は今、イギリスでも少しづつ紹介されるようになってきました。1990年代初期だったと思いますが、その当時、大英博物館の民族部門として、ミュージーアム?オブ?マンカインドというところが存在していたのですが、そこでアイヌ民族の子守歌などのデモンストレーションを見た記憶があるくらいです。

私は残念ながら行けなかったのですが、昨年、アイヌ民族のお芝居が小劇場で上映され、切符は売り切れ状態で非常に評判が良かったことを覚えています。

これから、もっとアイヌ民族に関して知る機会が増えることを期待していますが、パネルディスカッションで、アイヌの人たちも、アイヌ語を話せる人は少ないという事実を知りました。溝口さんのドキュメンタリーでは、多くのアイヌの人たちがみんなアイヌ語のクラスに参加し、一生懸命アイヌ語の上達に励んでいる様子を紹介してありました。

From top left clockwise: Mizoguchi Naomi in New York; Sekine Maya in Fujisawa, Kanagawa; Simon Wright in London; Sekine Kenji & Maki in Nibutani, Hokkaido.

SOASの音楽部でアイヌ音楽を研究している博士号課程研究生がいますが、民謡クラスでアイヌ民謡も来月から練習し始める予定のようです。又、それに関しては、来月お届けします。

10月は新学期が始まりましたから、民謡クラスもまた活動が始まりました。もちろんズームを使ったオンラインクラスです。そして、秋の古琴クラスも始まりました。それぞれのクラスの様子を写真でお届けします。

Minyo class with Dr. David Hughes and Professor Gina Barnes
Dr. Cheng Yu teaching Qin in Zoom class

10月の末はハロウィーンでした。いつもならお店やパブ、レストランなどが飾り付けにかなりこだわって、街全体がハローウィーンの映画のセットのようになるのですが、今年はひっそりとしています。大学街近所のショッピングセンターでおとなしいですが、雰囲気はかなり出ている飾り付けを見つけました。イギリスでは人気の回転すし、ヨースシは現在閉まったままですが、外には白のマントをまとった魔女がお店の外で通行人を眺めていました。

Halloween decoration at shopping centre near the University area.

9月 活動日誌

2020年9月30日
GJOコーディネーター 田口 和美

9月のロンドンレポートは9月26-27日に行われたロンドン日本大使館が主催するオンライン日本祭りに関してです。幸運にも祭りを企画し作成したカラム?フォーブス氏に東京外語大学グローバルジャパンオフィスのウェブサイト用に特別に記事を書いてもらいましたので、それをそのままお届けいたします。

Japan Matsuri is an annual culture festival of Japanese food, music, performance, martial arts and more, taking place on Trafalgar Square in London in the Autumn. My involvement in the festival began in 2018, when the then Cultural Attache Shinju Karasawa was recalled to Japan midway through the organisation period for Japan Matsuri. The embassy had been supporting the programming, of both the main stage performances and the martial arts stage, as part of a wider committee of organisers that has amongst it representatives from across the Japanese business and cultural world. In that year the programme was already decided and I took over alongside Akari Mochizuki to continue with the administration and to manage the stage on the day.

From the following year, I was the Head of Programming for Japan Matsuri from the beginning of the organisational window, so I would say that my first ‘proper’ year of Japan Matsuri was in 2019. Working closely with Akari, we put together a programme for 2019 that introduced new performers and restructured the performance scheduling. My usual role at the Embassy of Japan is Coordinator for Cultural Affairs, working in a team of four to put on the Embassy’s cultural events from exhibitions held in the embassy itself, to festivals and events taking place outside of the Embassy such as Tanabata in Kew Gardens or Tatton Park, and other smaller festivals like Hammersmith Park and, of course, Japan Matsuri.

2020 was naturally an unusual year, and we knew from early on that an event on Trafalgar Square was out of the question. However, we (the Japan Matsuri Committee) remained undecided for some time as to whether or not we would attempt an online event for 2020. To me, Japan Matsuri was best placed to transfer to an online event that could be meaningful, in a way that many of the other activities conducted by the embassy cannot, so I made detailed proposals for an online Japan Matsuri which were agreed by the committee. We decided that we would take an inclusive stance, providing a platform for both regular artists who contribute to Japan Matsuri and also to artists from across the Japanese creative community who had had events cancelled in 2020. We had no idea what the situation would be in September when we began organising, so we decided it was safest to pre-record most content, but to have a live MC for the event. We also agreed early on that we wanted to minimise re-running content from previous Matsuri as far as we could, instead preferring new content where possible.

We had originally planned Japan Matsuri 2020 as the closing ceremony for the Japan UK Season of Culture, and as such we were planning on bringing Tomioka High School Dance Club over to the UK to perform. This would have been a drastic change from 2019, which saw an Iwami Kagura performance take to the Main Stage as the headline act. It was a great shame that we were unable to do this, but instead the club filmed two fantastic performances for us, both of which were very well received!

The event itself was produced to high quality with significant help from Raspberry South Studios in Dorking, who put on a very professional looking production. On the day of the event, we decided I would be joining Haruka as MC(!) so the event was also my MC debut which I thoroughly enjoyed. All in all, the event was viewed by 30,000 people across all channels, and much more importantly than that, acted as a motivator for groups across London, the UK and beyond to get creative and contribute something for the event. We couldn’t have done it without the tremendous support of an astonishing number of people, and the event itself is a tribute to the hard work and determination of people from across the Japan related creative sectors!

(From left to right) Callum Forbes, Haruka Kuroda, Akari Mochizuki on set for Japan Matsuri Presents
Instrument creator, Ichi sets up to play live from the studio
Online premiere of Hyakka Ryoran which was produced for TDC’s annual show
Online premiere of TDC new dance to Erotica Seven

(ここからは、カラム?フォーブス氏による記事の翻訳です)

日本祭りは日本食、音楽、パフォーマンス、武道、その他の多くの出し物を毎年一回秋にトラファルガースクエアーで祝う文化の祭典です。この文化の祭典へ私個人が関りを持つようになったのは2018年からで、当時の文化大使、黒沢しんじ氏が日本祭りの計画の途中で日本に帰国辞令が出た時でした。現地日本大使館は、日本のビジネスと文化に携わる業界の代表が企画者となり立ち上げた規模の大きい委員会の一部として、メインステージでの出し物と武道用の舞台の両方のプログラム作成を支援してきました。その年は、プログラムはすでに決定されていましたので、私と望月あかりが運営を引き継ぎ、祭り当日のステージの管理を担当しました。

その翌年からは、計画の初めから日本祭りのプログラム作成の主任になりました。ですから私にとって2019年が日本祭りに本腰を入れた最初の年といえるでしょう。あかりさんと緊密に連携して、新しい出し物を紹介し、パフォーマンスのスケジュールを再編成しながら2019年のプログラムを作成しました。私の現地日本大使館での通常の仕事は、4人のチームで編成された文化関連行事のコーディネーターです。大使館内で行われる展覧会や、キュウガーデンまたはタットンパークで行われれる七夕、その他のハマースミスパークで開催されるもっと小規模のフェスティバル、そしてもちろん日本祭りといった公共の場で行われる文化行事を企画運営しています。

2020年は本当に稀な年で、かなり早い時期からトラファルガースクエアーでイベントを行うのは問題外だということが分かっていました。しかし、私たち(日本祭りコミッティー)は、2020年のイベントをオンラインでやるかどうかの決定をすぐにはしませんでした。私個人の意見としては、通常の大使館主催の多くの催しが到達できないような、やりがいのあるネット上のイベントとして日本祭りを変化させてを行うのが一番良いと思い、オンライン(ネット上)日本祭りの綿密な企画書を作り、委員会の同意を得ました。私たちは、日本祭りのレギュラー出演者の面々と共に、2020年のイベントをキャンセルせざるを得なくなった日本人クリエイティブコミュニティーのアーティスト達の両方を包括した、日本人コミュニティーすべてを含むイベントにするという姿勢をとりました。企画を始めた時点では9月に状況がどうなっているか全くわかりませんでしたから、全部の出し物を事前に録音するのが一番の安全策と決定しましたが、イベントの司会進行は生中継で行うことに決めました。それと同時に、早い時点で、前年の祭りの内容を再放送するのはできるだけ避けることを決め、可能であれば出来るだけ新しい内容のものを作ることにしました。

イベントの制作はドーキング地区にあるラズベリーサウススタジオの多大なる協力によりプロ並みの標準の質の高いものが出来上がりました。イベント当日は、私も司会のはるなさんと一緒に司会進行を務めることになり、私としては司会者としてのデビューとなり、個人的にはこの役割を非常に楽しみました。全体で3万人の視聴者がありましたが、もっと重要なことは、このイベントがある種の火付け役になり、ロンドン、UKそしてもっと広い地域に住むグループがこのイベントのためにクリエイティブな活動を貢献してくれたという事です。本当に多くの人たちの計り知れない支援なしにはこのイベントを実現することはできませんでしたし、イベント自体が日本関連のクリエイティブ分野の人たちのハードワークと強い意志から出来上がった賜物といえるでしょう。

***

東京外語大学ウェブサイトのリーダーのために書かれたカラム?フォーブス氏の素晴らしい記事でした。

ここからは、オルタナティブ祭り、その名も「裏祭り」が、この稀な時に今年の日本祭りに参加しましたので、祭りのもう一つの顔として報告をします。

裏祭りは2016年にUK基盤の日本人アーティストを草の根レベルで紹介すると同時に、ローカルコミュニティーにその存在を紹介し、エンターテインするという目的で結成されました。それと同時に、アジアの文化も取り込んで、アジアは一つというアイデアを定着させたいという意図もあります。

日本祭りのイベントで一時間の裏祭り特集の時間を提供されました。司会はロンドンベースのジャパニーズばーばと外人じーじです。裏祭りでは、即興音楽、インスタレーションアートパフォーマンス、ポップバンド、歌と踊りのグループ、津軽三味線とDJのコラボ、演歌歌手、短編映画、その他たくさんの幅広いエンターテインメントを披露してくれました。

裏祭りは主流の祭りでは見れないアーティストを紹介してくれますので、今年は特別に主流の祭りの中で見ることができて、非常にうれしかったです。

Grandma & grandad in their strange garden

8月 活動日誌

2020年8月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

8月のロンドンレポートは8月6日に大和日英基金の企画で行われたウェビナーでのトークに関してお届けします。

トークをしてくださったのは平田みちまさ氏で、広島原爆投下の生き残りで被爆者であられます。

平田氏は、過去に被った恐ろしい被爆体験を若い世代に伝え、核爆弾を他の人間に落とした間違いを今後二度と冒すことがないよう、日夜、精力的に活動をなさっています。

平田氏のメッセージは非常に明瞭なので、このレポートでは平田氏の言葉を翻訳しました。

Mr. Michimasa Hirata, a survivor of the atomic bomb in Hiroshima
Devastation after the bomb
Photo: Mr. Hirata as a young child

平田氏は説明します、「私の母と2人の姉妹はすでに郊外に疎開していました。私は8月6日の夜、母と姉妹が滞在している郊外に到着しました。」

『「母が私を見た時、走って出てきて私を思いっきり抱きしめました。「あー、あなたはまだ生きていたのね。よかった!あー、よかった!」」

平田氏は過去の記憶を次のように呼び起こします。

「1945年から1952年の連合国占領期には、原爆投下に関しプレスコードが出されました。(言語表現の自由に規制がかかるという事) 誰一人広島で起こったことに関して知る人はいませんでした。」

「加えて、被爆者に対し一種の差別が存在し、私たち被爆者は私たちが受けた体験を話すことができませんでした。」

「1995年に、広島に原爆を投下したB-29爆撃機、エノラ?ゲイをアメリカのスミソニアン協会で永久に展示するという企画が建てられた時、関連のイベントとして企画された原子爆弾展示は、ヴェテラン協会からの反対意見が出たため、急に展示が中止になりました。」

「企画中止に反対のデモがホワイトハウスに向かっている映像をテレビで見ました。そこで、私の同僚がデモに参加しているのを見つけました。次の日にデモに関して同僚に尋ねたところ、休暇を取りデモに参加したと教えてくれました。初めて同僚も私と同じ被爆者なんだと気づきました。」

「その時、被爆者として何かできることはないかと考えました。」

アメリカ、イスラエル、ニュージーランド、その他各国で活躍中の平田氏

平田氏からの若い世代の人たちへのメッセージ

「今日の核兵器は広島に投下されたものと比べると100倍あるいは1000倍の破壊力があるといわれています。現在の政治状況は冷戦期と同じく危機状態にあり、世紀末という見解からいうと、状況はさらに悪くなっているといえます。」

「記憶が薄くなるのを避けるために、私たちは過去の誤りに関し話しあう事を投げ出すべきではありません。それに対処する活動は、平和教育と次にあげる自己教育をとおして行うことができます。

被爆者や戦争を目撃した人たちから直接証言を聴いたり、ネットで証言?口述歴史を聴く。

映画、ヴィデオ、芝居を観る。

証言に関する本、小説、漫画を読む。

広島や長崎を訪問する。」

平田氏のメッセージ、自己の教育を通じた平和教育は世界に平和をもたらす重要な要素です。今回のウェビナートークは私にとって非常に勉強になりました。

ちょっと違う雰囲気のグラフィティ、ロンドン中心部

「あなたが寂しかったり暗い闇の中にいるように感じている時、あなたの存在自体が驚くような光を発散していることを、私はあなたに見せてあげたい。」

8月の末、落ち葉が秋の到来を告げているロンドンです。

7月 活動日誌

2020年7月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

七月のロンドンレポート1件目は、民族音楽研究家のデーヴィッド?ヒューズ先生の率いるSOAS民謡グループが、ロックダウンの環境の中、どういう方法で活動を維持しているかを探るため、彼らのネット上での練習にお邪魔しました。そして一番新しい練習曲の「千束麦打ち唄」が選曲された理由もお伝えします。

民衆と共に作られ継承されてきた民謡の一部は、労働するときに仕事の拍子合わせの手助けとして存在していました。止まるところを知らない近代化の波が押し寄せ、労働歌を含む民謡は人々の生活から姿を消し始め、数々の民謡が保存会を作り保護する必要に迫られました。

ヒューズ先生は日本民謡の研究家で研究生の時代から日本を訪問し、民謡収録と共に楽器や歌を実際に学びました。数々の歌の録音やテレビ出演をするという経歴もお持ちです。数多くの本の執筆と同時に、日本民謡の奥の深さと感情表現、バイタリティーを世の中の人に知ってもらうと同時に、後々まで日本の伝統音楽として残るように、現在もロックダウンにもかかわらず、誰でもが参加できる民謡クラブの活動を続けていらっしゃいます。

オンラインのズームを使っての練習は、家にいながらみんなと練習できるという利点はありますが、音の時間差でのずれが生じるので、いっしょに歌い演奏するという事はかなりの努力とこつ、あるいはテクノロジーの進歩がない限り解決できないと思います。

最初の練習曲は先ほどお伝えした「千束麦打ち唄」という題目なのですが、どうしてこの曲が選曲されたかといいますと、ヒューズ先生が若いころに歌った「千束麦打ち唄」の入ったレコードをNHKのダイレクターが聴いてその土臭さ感の大ファンになり、8月にNHK FMラジオで流す計画なのだそうです。残念ながら、日本でしか聞けないようですが、お時間がある方はチャンネルを回してみたらどうでしょう?知らなかった日本を発見するかもしれません。

農耕民族としての日本を彷彿とさせてくれる「千束麦打ち唄」、読者の皆さんのジャパニーズブルースへの入り口かもしれません。私も入門者です。

Lyrics from “Senzoku Mugiuchi-uta
Record cover
Dr. Hughes in his research mission
Dr. Hughes and his partner, Professor Barnes (T.V. show)

The same couple playing in front of the guests at the Award Ceremony for The Order of the Rising Sun, Gold Rays with Rosette honour at the Embassy of Japan in the UK, London in March 2018.

Photos 2-5 are from the internet. You can hear Dr Hughes singing “Senzoku Mugiuchi-Uta” at https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=hViLLgRkC08

第2件目は、ロンドン幽蘭琴社が毎年企画しているサマーコース、ここでは古琴のコースをご紹介します。指導者の程玉教授は、SOAS音楽学部の博士号を持ち、琵琶の研究家?奏者であり、素晴らしい古琴奏者、教師でもあります。

このクラスもズームをつかったレッスンです。各自、練習曲を古琴で一人ずつ演奏し、程先生が評価し、上達のアドバイスをしてくれます。漢詩には欠かせない楽器、古琴の繊細な音は、緊張感をほぐすのに最適で、癒しの音の波といえるでしょう。古代中国では、支配層が変わるごとに古琴の音の高低が変わるという事をどこかで読んだ気がします。

今回の課題曲は「平沙落雁」という典型的な古琴の曲目です。最初は荒寥な風景を思い出させるような、ゆったりとした静かなハーモニックの弦の引き方で始まり、徐々に調子が上がってきます。一曲を奏でることで、雁と一緒に旅立つような気持ちです。やはり、音楽は人間にとってなくてはならない存在だと実感する昨今です。

Qin Summer course taught by Dr. Cheng Yu (top left)

6月 活動日誌

2020年6月30日
GJOコーディネーター 田口 和美

六月のロンドンレポートはジャパンファンデーションUKにより企画されたウェビナーに関してです。トークの課題は、「彼らの読み方の手段は? 日本文学翻訳家の声と修練」です。

ジャパンファンデーションの竹川じゅん子さんのパネルの紹介でトークが始まりました。その後、日本近代文学専門家のスティーブン?ドット博士がパネルディスカッションのリーダー役を引き継ぎます。

ドッド博士は日本文学の英語版の翻訳家として活躍する二人、ポリー?バートンさんとジニー?タプレイ?竹森さんを参加者に紹介しました。

ジニーさんはSOASで日本語を勉強しましたが、最初に翻訳をしたのはカタロニア語から英語でした。ポリーさんはケンブリッジ大学を卒業後、日本を訪れ、佐渡島で英語を教えていました。帰国後、SOASで翻訳家コース(修士)を専攻しました。

両者とも翻訳家としての仕事はかなり献身的な心構えが必要だといいます、特に経済的には仕事の量に比べ見返りがそれほど高くないからです。それから、翻訳をするときは二つの言語の間にある特別な空間に入るという感覚があるそうです。

翻訳するときは、小説の中に入り込み、その醍醐味を英語で表現し、日本語を英語圏の世界に引き込むことに集中します。

ドッド博士は二人の翻訳家に質問します。「翻訳に関して、どこまでがオリジナルといえますか?翻訳版は常に原本よりは劣っている存在といえますか?」ポリーさんは翻訳は原本より劣っているということはないと否定します。ジニーさんは説明します。「本というのは音楽の作品と一緒で、読者が参加する必要があります。翻訳家は新しい曲を作り、小説をもっと広い範囲の読者に届けることです。翻訳という課程を認識してもらうには、翻訳家の存在を知ってもらうことが必要です。

日本語では、男性用語と女性用語の使い分けの表現が翻訳の時に非常に困難だという意見は全員一致です。それから方言を翻訳で表現するのも難しい点だそうです。こういった時、翻訳を誰のためにしているかということを想像するそうです。この翻訳は原本の作家の為?あるいは読者の為?その他に重要なことは、作品の登場人物の気持ちに入り込み、作品をより自然に仕上げることだそうです。

数多くの興味深い点が話し合われ、非常に熱のこもった翻訳の内訳に関するディスカッションでした。将来、さらに多くの日本文学が翻訳されるのが楽しみです。

Webinar Title & Ms. Junko Takekawa

 

Professor Stephen Dodd

Panel Discussion. Professor Dodd, Ginny, Polly

Professor Dodd, Ginny, Polly, Ms. Takekawa

5月 活動日誌

2020年5月31日
GJOコーディネーター 田口 和美

5月のロンドンレポートは、ロンドン大和基金企画でズームを使って行われたオンライントークを手短に紹介します。「コーヴィッド対策の鍵:ワクチン、治療法、免疫」というタイトルで、木曜日のロンドン時間お昼の12時から開催されたオンラインイベントには、130人もの参加者がありました。

ズームを使っておこなわれたイベントですから、世界のどこからでも参加できるという利点があります。通常は大和基金の館内の部屋を使って行われるイベントで、参加人数に限りがありますが、この点もオンラインだと、人数に制約もありません。

トークをしてくださったのは、インペリアルカレッジでT細胞を専門に研究を進めていらっしゃる免疫学者の大野まさひろ先生です。トークでは、私たちの中にある免疫システムがどのようなメカニズムでコーヴィッド19ウィルス菌の感染と戦ってくれているか、又、重症に陥った患者から如何にして退治できるかに関して話されました。

大野先生はリンパ球の主要な働きと、それの持つ「記憶」装置が回復力と免疫力にいかに関係しているかを説明してくださいました。さらに、現在、世界中の関心の的となっているコーヴィッド19に対する治療法とワクチン開発の進展状況を査定し、解決されなければならない問題は何なのかを明確にしてくださいました。

大野先生の専門知識を理解しようと必死になるあまり、ズームミーティングの写真をとるのも忘れてしまいました。トークの後は、質疑応答の時間でしたが、色々な質問が飛び交いました。

一番記憶に残っている質問は、武漢型とヨーロッパ型のコーヴィッド19が存在するといわれていますが、それは事実ですか?という質問に、今までの処のデータでは、コーヴィッド19は変異するという確認は取れていないということでした。ですから、武漢タイプ、ヨーロッパタイプという考えは現在は成り立たないということです。

かなり密度の濃い1時間半のトークイベントでした。

先月のレポートで、SOASの周りの様子をお届けしましたが、5月末に外では6人まで集まっても大丈夫、ただし相互間の距離(ソーシャルディスタンス)を保ちながら、という新しい規制が発表になりました。即座に近くにあるゴードンスクエア―も開き、太陽の下でのびのびとピクニックすることを我慢していた近所の住人が、お互いのグループの空間を保ちながら、楽しそうに日曜日の午後を過ごしていました。

風になびく枝の優雅な動きに見とれ、風に揺れてサワサワと音をたてる木葉のささやきに耳を傾けていると、一瞬忘我状態になり、コーヴィッド19が巻き起こすストレスを忘れる良い薬になります。自然の治癒力というのは深淵なものがあると今更確信した一日でした。

The photo for the event provided by Daiwa Anglo-Japanese Foundation

People gathering under the sun while respecting social distancing at Gordon Square

4月 活動日誌

2020年4月30日
GJOコーディネーター 田口 和美

4月のロンドンレポートは、UK全体が3月下旬からロックダウンに入り、日常必需品の買い物と運動のための理由以外は、外出禁止となっているロンドンの様子を報告します。現在、ロンドンの街を移動している人は、医療関係者、介護職、公共機関に働く人たち、日常品を扱うスーパーに働く人たち、そしてテークアウトの食べ物を配達しているデリバルーの人たちなどに限られ、街はひっそりとしています。

居住地の近くの学生街、ブルームズベリーの様子を写真でお届けします。

イギリスは今、コロナウィルスによる死者が、残念ながらヨーロッパで最大になってしまいました。医療関係で働く人たち、及び介護職の人達は、人の命を救うために、ウィルスから身を守るための防御服が十分に調達できていない環境下、危険を侵して日夜、治療に必死です。

今、一番求められているのは、症状が悪化した患者を死に至る前に救う手段です。今行われている検査及びリサーチが、一日も早く問題解決の糸口となってくれることを祈ります。

ロンドンの大和基金でもコロナウィルスに関するイベントを企画していて、5月14日にウェビナーを使い、「コロナウィルス対策への鍵:ワクチン、治療、免疫」というトークがある予定です。トークに関しては、来月、ご報告します。皆様、安全にお暮しください!

Empty streets to the south of Euston station, an area which contains a large amount of student accommodation

 

Main street of the University area.

 

This building used to be a petrol station until about 15 years ago.

 

People queueing at the supermarket.

 

Gordon Square looking north.

 

Gordon Square looking south, towards SOAS.

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