2016年度 活動日誌

3月 活動日誌

2017年3月
GJOコーディネーター 田口 和美

今月は、SOASの学部の日本文化紹介の一コマを追ってみましたので、報告したいと思います。

昨年の夏、SOASの民謡グループに関して取材しましたが、今回はSOAS音楽部の授業で津軽三味線の紹介とデモンストレーションがあるという情報を手に入れたので、さっそくお邪魔してみました。

「東アジアの音楽と伝統」というタイトルのコースで、教鞭をとるのはシニアティーチングフェローでリーダーのルアード?アブサロカ教授です。私もクラスに参加させてもらい、取材をさせてもらいました。

津軽三味線のデモンストレーションをするのは、ヨーロッパを中心に津軽三味線普及に活躍する一川響さん、それから彼のお弟子さんの一人で、ベルリングループのリーダーのドイツ人、マーティナ?コップさん(Martina Kopp)です。

一川響さんは津軽三味線の師範になった後、ヨーロッパで津軽三味線を広めようという目的でロンドンに渡り、それ以降、様々なイベント(各地での日本祭り、ハイパージャパン、日本大使館での催しなど)での実演披露と同時に、2013年にSOASのワールドミュージックサマースクールで津軽三味線を教え始めたのを皮切りに、着実に弟子の数が増え、2014年以降毎年、一川響さんとお弟子さん達よる発表会を北ロンドンで開催し、大勢の観客が詰め寄せ、人気のあるイベントとなっています。ロンドンだけでお弟子さんの数は25人位いるそうです。2015年以降はベルリンでもワークショップを開き、三味キャンプと呼ばれ、毎年行われる計画だそうです。

最近は、彼の演奏を録音した2枚目のCDを出したり、色いろなミュージシャンやパフォーマーとの共演、舞台音楽、そして最近では、ライカのアニメ映画、’Kubo and the Two Strings’で三味線音楽と音を担当するなど幅広く活躍していらっしゃいます。

簡単に、響さんの津軽三味線をヨーロッパで広める楽しみ、問題点などについて質問してみました。

“ロンドンという国際都市で、日本で生まれた楽器、三味線をいろんな方々に聴いてもらいたいです。レッスンではやはり生徒さんが日々上達していくのが本当に楽しみであり、嬉しいです。”というお答えでした。

当日のSOAS音楽部の学生達の前でのデモンストレーションでは、色々な国籍の学生が入り混じる中、お弟子さんのマーティーナさんと一緒に、津軽三味線の典型的な曲目、それから響さんの自作の曲目で中近東の香りが漂う曲など様々な音をわかりやすい説明を加えて披露して下さいました。

デモンストレーションの後は、実際、学生達が津軽三味線に触れる番です。数人の学生が響さんの指導で、挑戦しました。音楽部の学生だから感が良いのか、少し説明してもらうと、すぐに上手に演奏できます。その反面、ギターと同じ弦楽器ではありますが、ギターにはばちがない分、ばちの使い方が難しそうでした。

最後に質問の時間が設けられ、音階に関する質問、ばちは何でできているのかに関する質問、他の三味線とどこが違うのか、何時から津軽三味線を始めたのかなど、様々な質問に対し、津軽三味線伝授に使命感を持つ響さんは、一つ一つ丁寧に答えていました。

今回は、音楽の授業を通しての日本文化の紹介というテーマでしたが、実際に眼のまえで見て、聴く、という体験が非常に重要であり、理解を深める一番の方法だと実感しました。このレポートに協力いただいた、アショカ教授と、津軽三味線のお師匠さんの一川響さん、そのお弟子さんのマーティナ?コップさんに感謝したいと思います。

Hibiki Ichikawa Demonstrating in front of students
The Leader in Ethnomusicology, Dr. Ruard Absaroka
Martina Koppe, who is a student of Hibiki Ichikawa demonstrating in front of students
Workshop: SOAS student challenging to play Tsugarujamisen
Hibiki and his student, Martina demonstrating.
Workshop: SOAS student challenging to play Tsugarujamisen
Hibiki and his student, Martina demonstrating.
Question time

2月 活動報告

2017年2月
SOASオフィスコーディネーター 田口 和美

【TUFS&SOAS交換留学生交流会】

2月初旬から第二回TUFS-SOAS学生文化交流会の開催に向けて、準備を進めました。

交流会のタイトルは東京外大生の提案で、節分を祝い「恵方巻大会」と決定しました。

今回は、大学内の教室を借り、プライベートな空間を設け行う事に決め、言語?文化の事務長と学生のアフシーンの協力により、15人くらい入れる部屋を確保することができました。

今回は、日本語学科の古川先生の協力で、今年の9月から東京外大へ留学予定の学生と連絡が取れ、SOAS学生2名も参加してくれました。

恵方巻大会は、研究のためSOAS滞在中の東京外大アジア?アフリカ言語文化研究所の荒川先生の研究分野である西夏語の講義で幕を開けました。

恵方巻の具作りで手間取った筆者は、10分くらい遅刻して参加することになったのですが、その時はすでに講義は始まっていて、教室は満員の状態でした。

荒川先生のわかりやすい講義に学生たちは興味津々に耳を傾けています。

荒川先生をお世話なさっている、SOAS中国?内陸アジア学部のネイサン?ヒル教授、ならびにハワイ大学から訪問中の日系の研究員の方も参加して下さいました。

東京外大からは学生5人、SOASからは学生6人が参加してくれました。(教室確保に協力してくれたSOASの学生一人は残念ながら、クラスがあり、早めに帰らなければなりませんでした。)

荒川先生、西夏文字の講義の模様

荒川先生の講義の後は、恵方巻大会に移りました。

まず、教室をテーブルクロスを敷いて、お料理デモの空間に変換させることから始まり、みんなの協力で素早く準備が整いました。

そもそも恵方巻とは、節分にちなんで食べるものだそうですが、恵方巻を食べる習慣が定着したのは歴史的には浅く不透明ですが、一説として1970年代に寿司屋が共同で企画し、メディアが広めて現在に至っているというのがあります。

筆者が最初にお寿司の巻き方のデモンストレーションをするところから開始です。

タッパーウェアにつめた具の数々、すし飯、海苔、すし酢などを並べ、教室を汚さないように、それから衛生管理の事を考え、参加者は使い捨ての手袋をしてお寿司を蒔いてもらう事にしました。みんな真剣なまなざしで、デモンストレーションを見てます。

SOASの学生もTUFSの学生も、そして荒川先生もお寿司を巻くのは、もちろん初体験。全員、初めてとは思えない素晴らしい恵方巻を作りました。

巻いたら、普通は小さく切って食べるのが、巻きずしの常識ですが、恵方巻というのは前にも書いたように縁起物なので、切ると縁が切れてしまうという事で、一本をそのまま丸ごと食べるのが習慣だそうです。食べる時、自分の今年の抱負というか、祈願をするとよいとされています。

寿司づくりを体験しながら、話も弾み、日本文化を肌で直接触れる体験になってくれたら、ありがたいと思います。

今年の9月にTUFSに留学予定の学生が寿司づくりに挑戦!横では、クラスメートで一緒にTUFSに留学する学生が、優しく見守っています。

筆者、巻き寿司の作り方デモ中

日本語学科3年生の学生は、自信をもって寿司作り

お箸を使うの、問題なーい!

はい、出来上がり。

TUFSの学生も寿司づくりにチャレンジ!

TUFSの学生がSOASの学生に寿司を作り、寿司交流。

荒川先生の講義と恵方巻大会の思い出ショット

11月 活動日誌

2016年11月
SOASオフィスコーディネーター 田口 和美

11月18日金曜日の夕方、SOAS/TUFS学生交流会を開きました。参加数はTUFS学生5名、SOAS学生3名の合計8名でした。

SOASに隣接した、UCL付属の教育大学(IOU)のバーで6時に集合、金曜日の夕方という事もあって、館内は学生であふれ、8人分の席とテーブルをどうにか確保できました。

最初に各自の自己紹介を専攻の言語で行い、その後、なぜその科目に興味を持ったか、その周辺の環境の説明、この先、どういった形で伸ばしたいか?などについて語ってもらいました。

周りの雑音で、聞き取りにくいという難点はありましたが、それぞれメンバーの発言に注意深く耳を傾けました。

自己紹介が終わった後は、自由に意見の交換をして、それからそれぞれの専攻科目の国の国旗マークを持って、記念撮影。

その後は、コーディネーター手作りのお寿司などをつまんで、談笑で幕を閉じました。

次回は新年を迎えた後に行う予定です。


10月 活動日誌

2016年10月
SOASオフィスコーディネーター 田口 和美

新学期が始まり、10月1日の土曜日はフレッシャーズ?フェアーといって新入生歓迎を兼ねた様々なソサエティー(部活)が新メンバーを募るイベントに出向きました。

学生登録手続きが終わった最初の週末の土曜日で、校内は新旧の学生であふれていました。

新入生にはSOASの学生になり最初でかつ授業開始直前の週末です。不安と期待の入り混じった顔をした学生が色んなサークルを品定めしています。サークルに入って趣味を伸ばしたり、交友関係を広げたりと、理由は様々です。

3つのホールが設けられ、一般のソサエティー、音楽関係のソサエティー、スポーツ関係のソサエティーが所せましと並んでいました。

SOASならではの、国際色の豊かさは眼を見張るものがあります。いろんな国のサークルがデスクを設け、熱心にサークルに関する説明を学生にしています。

コーディネーターの私のターゲットはジャパンソサエティーの活動を知ること。早速、名前をリストに載せ、第1回の会合メールを待つことにしました。

十月二十日に、待ちに待ったSOASジャパンソサエティーの第一回ミーティングがありました。私が到着したときは、すでにかなりの数の学生が隣接する大学Institute of Education (UCLの一校)のバーに集まっていました。

TUFSの学生も数人参加していて、SOASの学生と会話が弾んでいました。

次回は、TUFS?SOASの学生交流に進展する予定です。

8月 活動日誌

2016年8月
SOASオフィスコーディネーター 田口 和美

初めまして。2016年7月より、ロンドンオフィスのコーディネーターを務めることになりました田口和美です。

始めに、簡単な自己紹介をします。

私とSOASの関係は長く、ほとんど実家のような感覚です。最初に、インターミディエート?サティフィケートといってSOASが外国人学生用に設けた、英国で大学教育を受ける場合の基礎科に近いコースを一年間受講し、英国で大学を受ける資格を取りました。

学士課程は“音楽と歴史”(東アジア)を専攻しました。

修士課程は“中国学”を専攻し、王朝時代の宗教史に視点を当てました。

博士号は、現在、この9月の締め切りをめざして、最終調整に入っています。専攻課題は 明治の大文豪の一人、夏目漱石の宗教思想を漢詩から探る、といった内容です。

趣味としての音楽活動をSOAS中心に行っています。現在は、SOAS沖縄三線会、 SOAS-Royal Holloway能グループ、SOASコリアンドラムソサエティーに属し、中国の楽器は、漢詩に関係の深い古琴に興味があります。

450年の歴史のある、日英両国間の関係に興味があり、お互いの国の理解、協力、親睦を維持し、深めていく過程で、小さい力ながら、私なりの何らかの貢献が出来ればありがたいと思っています。

どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします。

【TUFS&SOAS交換留学生交流会】

2016年夏企画、SOAS民族音楽部の民謡グループ訪問:

8月13日、日本では夏の季節行事、お盆が始まる日に、音楽部前主任教授のDr. David Hughes (平成27年度TUFS 特別招へい教授)の指導の下に、意欲的な活動を行っている、SOAS民族音楽部の民謡グループを訪問しました。

民謡グループは次に行われるイギリス北部のシェフィールド日本祭りに参加するため、最後の練習で、気合の入った練習風景。彼らは売れっ子民謡グループで日本関係の催しには引っ張りだこです。和気あいあいとした雰囲気のアプローチですが、歌も演奏も完成された素晴らしいものを披露してくれます。

TUFSからは夏期事務職員国際研修参加中の肥沼氏、TUFSショートビジット?プログラムに参加の学生、東京大学の学生、名古屋大学の学生が訪問し、手拍子、掛け声、時には歌で参加しました。

訪問前は、一行には民族音楽の一部としての日本民謡という概念に馴染みがなかった様子でしたが、いったんサークルの中に入ると、打ち解けた雰囲気で、日本の民謡を、日本人以外の人たちが熱心に唄い、演奏しているのを見て、自ずと手拍子、掛け声が出てきたようでした。

これから、日本人として世界で活躍する世代になる学生達に、海外では日本文化がどのようにして紹介され、受け入れられ、維持されているのか、という事を学ぶ一つの良い機会となったと思います。

練習後、SOAS近くにある広場、ラッセルスクエアーにてのピクニックには、肥沼氏がTUFSを代表して参加しました。和気あいあいと歌って踊って楽しいひと時だったようです。この企画に多大なる協力を提供して下さったデイヴィッド?ヒューズ教授をはじめ、ジーナ?バーンズ博士、そして民謡グループのメンバーの方々へ感謝の意を表したいと思います。

10月から始まる。2016-2017年のアカデミックイヤーに向け、SOAS?TUFSの交流企画を計画し、実現してゆきたいと思います。

Minyo group and TUFS visitor sing and dance Tankō Bushi at the Picnic at Russell Square celebrating the OBON Festival.

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