2023年度 活動日誌

1月 活動日誌

2024年1月
GJOコーディネーター 安 昭映

去年12月、日本語能力試験が行われました。年に2回だけの試験なので、就職や卒業に合格証が必要な学生にとっては必ず合格を勝ち取りたいものです。レベルは5段階(N1~N5)ですからどれを受けるか作戦を立てるのも悩みの一つです。受付から受験まで3ヶ月の時間があるので、現在のレベルより上を目指してギリギリ及第点が取れるようにするか、それともレベルは一つ下でも合格証を手に入れるかを相談するのですが、求められているレベル、締切り、実力などを全て考えなければならないので相談する側にとっても難題です。

そして今月試験結果が発表されました。合格した学生も不合格した学生もいます。受かっても上のレベル目指せばよかったと思う学生もいますし、3ヶ月の時間があったのにもっと頑張れなかった自分を責める学生もいます。交流プログラムに積極的に参加していた学生は聞き取りが大変上達したので合格を期待したのですが、残念ながら受かりませんでした。次の試験で合格を目指して今回の試験でできなかったところを集中していきたいのですが、合格の成績表には点数が表示されますが、不合格の成績表には点数が空欄になっているので判断が難しいです。これは学習者のためにも改善してほしいところです。

学習者に語学の知識を伝えることも大事だと思いますが、 試験結果が発表する時期は特に学習を続けられるように学習者の気持ちに共感することも大事だと思います。これからも常に学生一人一人の苦手なセクションをまめにチェックして学習方向を提案し、それが苦に感じないように楽しく勉強できるプログラムを提案していきたいと思います。

12月 活動日誌

2023年12月
GJOコーディネーター 安 昭映

外国語学習においてその国の社会文化への理解は欠かせないもので、ソウルオフィスは語学学習の際、日本文化の体験を積極的に薦めています。今年の秋、その一環として「日韓みらいファクトリーアワーズ2023」の参加募集の案内をしました。筑波大学50周年記念事業として日韓信頼関係の発展を図って始めた日韓青少年対話型交流プログラムです。多くの学生が参加を希望しましたが、最終的に2人の学生が参加することになりました。

ソウルオフィスはその過程を見守ってきました。とうとう発表の日が来ました。 現地参加またはオンライン参加ですが、彼らのチームはオンラインで発表することになりました。ソウルオフィスはオンライン一般参観として参加者みんなの発表を拝見しました。それぞれみんな熱く語る姿は今までの努力を感じさせました。より親密な日韓関係を築くための若者の奇抜なアイディアはこれからの日韓関係に期待をもたらせるものでした。

こちらの学生は「日本に??! ??? いこう!(日本に行こう!韓国に行こう!)」というタイトルで高校生交換留学システムをテーマに発表しました。安心できる方法で、少しでも早くお互いのことを自ら知ってほしいという彼らの思いが伝わる発表でした。彼らのチームは人気賞を受賞しました。

発表が終わり、感想を聞かせてもらいました。

「いつもソウルから様々な文化体験を紹介してもらっていますが、自分の意見を披露できる体験は初めてだったので参加することになりました。 

主催側がランダムで指定してくれた日本人と韓国人が一つのチームになりました。自己紹介の時間を通じて仲良くなることができました。意見交換をしていって「高校生交換学生プログラム」をテーマにすることにし、一緒にプレゼンテーションの資料を作り、発表の練習に励みました。ランクには入りませんでしたが、みんなで力を合わせて無事発表を終わらせることができたことは一生の思い出になると思います。

オンラインでの交流でしたが、その間友情が深まったことに満足しています。学生の立場から文化交流政策について意見交換をしたことも楽しかったです。チームのみんなとオフラインで会う日が楽しみです。」

11月 活動日誌

2023年11月
GJOコーディネーター 安 昭映

今年はいつもより日本のアーティストの展覧会が多く開かれています。「ケロヨン」の原作者でお馴染みの藤城清治のほか、吉田ユニ、ロッカクアヤコ、平子雄一など若手のアーティストが目立ちます。今までは日韓交流の一環での展覧会が主流だった印象でしたが、今年2月に釜山で開かれた村上隆の個展をはじめ、今年は大衆向けへの展覧会が増えた感じがします。アーティストのほか、安藤忠雄、隈研吾など日本の有名建築家の建物が韓国のあちらこちらに建っています。足を運べば韓国の中で日本の芸術を経験することができるのです。

日本について興味を示し始めた学生が増えたと聞いて、「実は日本文化が身近にたくさんあった!!」というテーマでイベントを企画していました。食文化はすでに感じているだろうから他を探していたところ、ちょうど平子雄一の個展が開かれる場所と近いところに建築家安藤忠雄が手掛けたLGアートセンターがあったので個展と建築物の二つを結んで紹介することにしました。

LGアートセンターを見学しながら以前から観てきた安藤忠雄のドキュメンタリーやインタビューから得た知識をもとに彼の伝記と建築物の特徴を説明しました。建築を専攻したことがないプロボクサーが建築の巨匠になった、彼が歩んできた人生はみんなに新鮮な衝撃だったようです。

建築物の見学後、平子雄一の個展に向かいました。個展はガイドサービスがあったので、アーティストの履歴や作品の意図などを説明してもらいました。日本のアニメをよく観ている学生が作品から既視感が浮かぶとずっと言っていて、それは日本アニメの特徴要素が彼の作品に溶け込んでいるからではないかという意見もありました。

日本文化といえば着物や歌舞伎や浮世絵など伝統的な「和」を思い出すのですが、同じ時代を生きていく日本人が作り上げた作品からもアーティストが生まれ育った日本の雰囲気が醸し出されていることを確認しました。

最初は伝わる感動の大きさや理解の深さが、日本語のできる学生の方ができない学生よりずっと大きいと考えがちですが、今回の見学で最も積極的に感想を述べたのは日本語がわからない学生でした。言葉を超え、芸術を通じて日本文化と疎通する学生たちに感動しました。今回は韓国の学生のみでしたが、以降日韓交流の場にぜひ招待したいと思います。

10月 活動日誌

2023年10月
GJOコーディネーター 安 昭映

ソウルオフィスは日本語を専攻している学生はもちろん他を専攻している学生にも日本の言葉や文化に触れる経験を提供することに心掛けています。毎年の両国で行われる「日韓交流おまつり」はお互いの文化を体験できる大きなイベントの一つで、ソウルオフィスは毎年開催の案内をしてきました。見学も楽しいですが、ボランティアとして文化祭を深く体験することを薦めています。コーディネーターの私も過去ボランティアとして参加したことがあり、その時の経験やボランティア仲間は今でも私の宝物で、ぜひ学生もこのような体験をしてほしいと思っています。

今年は法学を専攻している学生と電子工学を専攻している学生がボランティアにエントリーして参加することになりました。特に、電子工学部の学生は去年都合が合わず参加できなかったのですが、今年は友だちと一緒に参加ができて嬉しかったそうです。

「日韓交流おまつり」を迎えて緊張した様子もありましたが、無事終わって感想を聞きました。『日本語や日本社会文化を専攻している訳でもないので、うまくやり遂げることができるのか不安もありましたが、いざ挑んだら全く問題になりませんでした。日本企業ブースを担当させてもらいましたが、学生の身分ではなかなか接することのできない話や情報を聞くことができました。時々他のブースに挨拶に行っていろんな方々と連絡先を交換したりしました。日本語を専攻しない私にとってこのような経験は、去年無理してでも参加すればよかったと思ったほど、大事な経験になりました。地域ブースからたくさんのお土産や観光情報のパンフレットをいただきました。私が「日韓交流おまつり」のボランティアをしたことが噂になって学校の友だちの間では日本旅行会社のような役割をしています。来年もおまつりに多くの友だちと参加したいと思います。』

9月 活動日誌

2023年9月
GJOコーディネーター 安 昭映

今年は9月26日からお盆休みが始まりました。日本と同じくお盆は多くの人々が里帰りをします。実家がソウルの韓国学生がお盆の間、日本人のお友だちにソウルを紹介したいとおすすめの観光スポットを聞いてきました。韓国の国立中央博物館とその隣のハングル博物館を紹介しました。国立中央博物館の中に日本展示館があるので、お互いの文化を知ることができるからです。私もちょうどソウルに滞在する予定だったので同行させてもらうことにしました。

見物の前に一つルールを決めました。韓国学生は日本語でだけで、日本学生は韓国語だけで説明すること、もし助けが必要だったらGJO通訳チャンスを使うことにしました。日常会話は困ることがありませんが、わからない語彙はもちろん自分も初めて接する国のこともあったので、さすがに歴史や特徴を説明するのはなかなか難しかったようでした。

漠然とお互いの国について教えたいとか知りたいとは思っていましたが、いざ説明しようとしたら語彙も知識も不足していたことに気づいたようでした。これをきっかけに相手の国のことはもちろん、自分の国のことを知ることも大事だと感じたそうです。

日韓の学生は「言葉ではハングルや武士について100%伝わりませんでしたが、お互いの国を理解しようとする気持ちだけは十分伝わってとても楽しい時間でした。」と言っていました。

ソウルオフィスは軽い気持ちで始めた博物館巡りでしたが、お互いの伝統文化に対する理解、そして語学や文化の学習モチベーションにつながった良い体験になったと思いました。

8月 活動日誌

2023年8月
GJOコーディネーター 安 昭映

多くの日本語学習者は年2回行われる日本語能力試験を受けます。N5取得から始めN1を目指して勉強します。学生の場合、語学資格として就職に活用することができます。個人差はありますが、中には学習歴たった1年でN1を取る人もいます。しかし、最高レベルのN1を取得したら学習を続けるモチベーションを失ったり日本語学習を手放したりすることがあります。

ソウルオフィスはそのような学生を対象にN1取得後の学習モデルを模索しています。学生の関心分野に合った学習活動を通じて日本語能力向上と達成感を目的とします。例えば、日本文学が好きな学生に原文と韓国語訳とを比較対照して日本語の表現を豊富にする学習活動を提案したり、日本企業に就職を希望する学生にBTJビジネス日本語能力テストを受験することを提案したりするなど、それぞれに合った学習モデルを開発してきました。

学習モデルをデザインするために学生の話を聞くと日本語能力試験の外に専攻と関連した認定試験や就活に役立つ資格の勉強を並行していることがわかりました。そこで思いついたのが「それら知識が日本語でも話せるのか?」でした。専門知識はそれを修得する道のりは大変ですが、その過程を乗り越えたら専門用語は自然と覚えられます。しかも日韓は同じ漢字文化圏に属しており、特に専門用語の多くは漢字でできているので知識さえ持っていれば用語を覚えるのはそれほど難しくないと思いました。

N1を取得した学生に専攻知識に関する日本語の書物を読んでみることを提案しました。専攻教授に本を推薦してもらい、国会図書館と中央博物館から本を借りました。わからない漢字や外国語は辞書を引きながら読見ましたが、文法がわからなくても大体の内容は理解できました。読み続けると同じ文法を繰り返しているのでそのパターンも見えてきました。最初は初めて目にする漢字や文法で緊張しましたが、読めば読むほど理解するスピードが速くなって自信を持つようになりました。今は読んで理解するレベルですが、自分の言葉で話せるようになるまでなりたいと言っています。日系企業への就職のほかに日本の大学院への進学も将来の夢の一つになったそうです。

最初は日本語学習を続けてほしいという思いで始めた学習モデル作りでしたが、学生にとってもう一歩成長できる有効な活動になって嬉しいと思っています。

7月 活動日誌

2023年7月
GJOコーディネーター 安 昭映

1年間交換留学をして帰った学生が通訳を通じて日韓を結ぶ仕事がしたいのだが、通訳大学院を卒業しなくてもできる仕事について相談に来ました。一般人も受ける日本語能力試験だけでは資格として物足りないので専門知識がアピールできる資格が取りたいということでした。ボランティア活動に熱心なこの学生が困った人々を助けられるお仕事を探すのに一緒に悩みました。

通訳の資格を色々と検索して「医療通訳検定試験」という国家試験を見つけました。今年で8回目行われる試験で、医療通訳能力のほか行政業務の知識も必要とされる難しい試験です。母国語でも自分の体調を正確に伝えるのは簡単ではないし、しかも健康に関わることなので、それを外国語にして伝えることは結構な専門性を要するのは当然のことでしょう。しかし、今まで7回しか実施されていないため、受験のための教科書や過去問を手に入れるのが難しくて情報収集に手を焼きました。試験を受けると決めてから力を合わせて日本の医療通訳検定試験の情報も検索するなど合格するための努力をしました。

来たる9月に筆記試験があります。 海外で病気で大変な思いをしている患者を助けることができたらきっとやり甲斐があると思います。合格率も低くて難しい試験ですが、数ヶ月の間頑張ってきた分だけ成果が出るよう応援しています。

6月 活動日誌

2023年6月
GJOコーディネーター 安 昭映

ソウルオフィスは先月開かれた留学フェアにて大学の紹介をしました。COVID-19で3年間中止していたオフライン留学フェアだったので、留学を考えているたくさんの学生に嬉しいニュースでした。ソウルオフィスも今まで留学の相談をしてきましたが、先月の留学フェアを通じて留学に対する視野がさらに広くなりました。

ソウルオフィスに留学の相談に来たことがある学生に留学フェアを紹介したのですが、その学生が目指している専攻の学校は今回のフェアになかったようで、またの機会を待つことにしたそうです。その学生なりに自分の専攻科目がある学校を探したり、留学生活に関する情報をネットでリサーチしたりしているが、リサーチできていない情報をフェアでチェックしたかったそうです。

学校のホームページに学科情報や留学情報が載っていますが、より豊富な情報を得るためにはフェアで相談をするかまたは学校の留学センターに問い合わせるなど、直接職員の方とコンタクトしたほうがいいと案内しました。

留学フェアの時もそうでしたが、留学生活並みに気にしているのが就職のことでした。将来の就職活動において留学のメリットを考えていました。学生と一緒に経済ニュースなどを調べてみましたが、専門ではないのでなかなか統計が見つかりませんでした。今までも留学後の就職について何度も相談をしてきましたが、今回のフェアを参加して数値で実例や現況を直観的に案内する必要性を感じました。

フェアを終えて早速の留学相談でしたが、 COVID-19以前ほど留学に積極的になったこと、学生自身はもちろん保護者の方々も韓国から近い日本が留学先で人気であること、就職にプラスになることを期待していることを再度確認できました。ソウルオフィスは具体的な回答はもちろん、学生が見落としていることがあれば併せて案内していこうと思いました。

5月 活動日誌

2023年5月
GJOコーディネーター 安 昭映

5月13日、14日の二日間、韓国を代表する大型コンベンションセンターでCOVID-19以来久々にオフライン留学フェアが開かれ、ソウルオフィスは手机赌博官网_外围足球app-游戏平台の通訳として参加しました。午前11時から入場だったのですが、入場前から会場入り口には行列ができたほど、たくさんの人がフェアに興味を持っていました。

留学がしたい高校生をはじめ、韓国の大学に在学中だけど留学を考えている学生、もう卒業して大学院に進学したい学生、日本語が堪能ではないけど日本留学したい学生などたくさんの方々が来ました。

東京外大の先生と職員の方々が丁寧にしてくれる説明がそのまま伝わるように通訳しようと頑張りました。私の他にもう一人通訳がいましたが、彼女はなんと今年卒業したばかりの第1期生でした。相談に来た方々は彼女の生き生きとした留学生活の話はみんな目をキラキラ光らせて聞いていました。

卒業後の就職現況の質問がたくさんありました。特に、韓国人の卒業生の就職先の質問が思ったよりたくさんありました。韓国は大学を受験する時、卒業後の就職率や就職先のことも考えて学校や専攻科目を決めるからです。

印象に残ったのは車で2時間以上離れているところから遥々来てくれた学生たちでした。お母さんと一緒に来た学生は日本留学がしたいけど、住んでいる地域には住んでいる地域には留学試験専門学校がないから受験に関する教育を受けることも、情報を得ることもなかなか難しくてフェアに来たと話していました。また、高校の日本語教師に添って来た生徒二人がいました。先生ご自分が日本留学をしなかったことに後悔していて日本に興味を持っている生徒に留学フェアを体験させてあげたくてきたと話していました。

ソウルは日本語学校がたくさんあるので選択の幅が広いです。日本に関する色々なイベントが一年中開かれると言っても過言ではありません。ソウル内だったらいつでもどこでも日本文化に触れる機会がたくさんあります。このような環境の中で生活していたから他の地方のことは全く考えていなかった自分に気がつきました。留学に興味を持ったりしたいと思う学生なら住むところがどこであれ教育や情報への接近性がよくなければならないと思いました。

今回のフェアを通じてたくさんの方々の日本留学への思いを伺うことができ、自分の夢を叶えるために着々と準備している学生に会えてとてもよかったです。

4月 活動日誌

2023年4月
GJOコーディネーター 安 昭映

日本が大好きで日本語を勉強している工学部の学生がいます。今までは日本語能力試験向けの勉強に励んできました。その学生が先日の日本旅行でイラスト付きの専攻書籍を買った話を聞きました。イラストはかわいいけど説明はしっかりしていて読めると思って買ってきたそうです。すべて日本語だから完ぺきに理解するのは難しくてどうしたらいいのか相談にきました。説明に使われている文法を教えることはできるけど、さすがに機械用語は全く分からず正しく訳せているのか自信がありませんでした。でも、彼は自分の専攻だから細かい訳は難しくても全体の流れに対する理解は私よりは早かったです。

以前から彼には専攻を勉強するとき、専攻分野の専門用語を日本語で覚えておいたらいざという時に発揮できるはずだと強調してきました。専門知識に日本語能力、更に専門知識が日本語でしゃべれたら将来自分をアピールするとき多大な武器になるからです。

私が教えてあげられるのは文法に限られるので、専門用語に対する理解は彼の知識に任せるしかありません。私は自分用の専門用語ノートの作り方など勉強方法を教えてあげました。また、日本のイラスト付き書籍が韓国に訳されて韓国で売れていることも伝えました。彼が読んでいる本は専門知識がなければ翻訳書にできないから、いつかぜひ翻訳書の訳者になれたらいいなと話しました。彼にとってもう一つのモチベーションになったのではないでしょうか。

PAGE TOP