Fundraising現代アフリカ教育研究基金

現代アフリカ教育研究基金

日本人学生が語る、留学生を日本に招く意義

2020年4月24日

2020年4月15日~5月31日実施の「第2弾! 紛争を乗り越えて。ルワンダの大学から留学生を招こう」の新着情報ページ用に、私たちは日本人学生の座談会を開催しました。これは、アフリカから留学生を招くことが、日本人学生にとってどういった効果や意義があるかを知るためのものでした。学生たちからの率直な意見は、留学生招致の取り組みが日本人学生にとっても大切であることを再認識しただけでなく、学生たちと私たちが手を組んで取り組むべきであろう課題も見つかりました。

今回はその座談会の第一弾を紹介します。

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オンライン座談会の様子。外大生3人と当センタースタッフが参加しました

司会:
これまでにクラウドファンディングを通じては、アフリカから4名の留学生を招いています。皆さんは留学生たちとどんなつながりがありましたか?


主体的でインフォーマルな学びの場

若本さん:
今、来ているオクタブとヘレンとは、外大のバディ制度でかかわり、日本での生活サポートをしたり、日本語の勉強を一緒にやったりしています。オクタブとは、プライベートで「オクタブのズールー語講座」を開いていました。オクタブがズールー語を日本の学生に教えて、僕たちは逆に日本語をオクタブに教えるという感じです。そういった普段はできない学びを一緒にやっていくという活動をしてきました。

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若本 隆平さん(国際社会学部アフリカ地域研究専攻、2017年入学)
留学生とズールー語講座を開いていた。紹介する書評はこちら

飯野さん:
私は、オクタブとヘレンがルワンダから日本に着いた直後に、外大で寮生活を始める時のサポートをしました。よく一緒にご飯を食べました。1月1日には、東京にある私の実家にヘレンを招いて、一緒におせち料理を食べたり明治神宮に初詣に行ったりしました。お正月ってこんな感じなんだっていうのをみんなで体験できたのは、私の家族にとっても良かったです。

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飯野 真子さん(国際社会学部アフリカ地域研究専攻、2016年入学)
2018年9月から2019年9月までルワンダに留学。留学体験記はこちら

アフリカへの偏見を変える機会

井出さん:
2年前の話なんですけど、私はガーナからの留学生のコフィ(2018年春学期間、本学に交換留学していたチャールズ?アチャンポン?アジェベンさん)が日本に来た時に個人的に仲良くなって、よく山梨県の実家に連れていきました。これ(背景の写真を見せて)は庭で妹とコフィが一緒に遊んでいる時の写真です。こういうふうに庭で木の実を収穫したり、親戚の酒蔵に連れて行ったり、温泉に行ったりしました。コフィは、普段、外大の寮でひとり暮らしをしていたんですけど、そういう暮らしと田舎で家族と過ごす暮らしは全然違うので、それを両方体験させてあげられたのはよかったなと思います。

山間部の小さな町である私の故郷では、ガーナはもちろんアフリカの人と交流する機会がほとんどありません。それもあってうちの家族はわりと、アフリカに対する偏見みたいなものを持っていたんですけど、コフィが来てくれたおかげで、それが覆った感じがあるかなと思っています。家族にとってもすごくいい経験になりました。

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井出 有紀さん(国際社会学部アフリカ地域研究専攻、2016年度入学)
ガーナからの留学生、コフィが実家に来て妹と遊んだ時の写真を紹介。
2018年8月から2019年6月までガーナに留学。留学体験記はこちら

留学生とかかわる場を増やす

司会:
今回のクラウドファンディングは、アフリカから留学生を呼ぼうというプロジェクトですが、アフリカから留学生を招くことはどんな意義があると思いますか?

若本さん:
僕は入学前、外大には留学生がいっぱいいるんだろうと思っていたんですよ。でも実際、入ってみると、留学生がいることはいるんですけど、「自分から積極的にいかないと留学生とかかわる機会がそれほどないな」というのは感じていました。僕が入学してから現代アフリカ地域研究センターができて、学部の留学生も増えてきて、そこで留学生とかかわる機会があったのはすごく嬉しかった。

それだけじゃなく、オクタブと一緒にやっていたズールー語の講座もそうですけど、やっぱり授業での学びだけではなくて、留学生と交わる機会を得てそれを利用していくというのは大学ならではだと思います。今、振り返ると、すごく良かったです。ロドリグとシュクル(前回のクラウドファンディングによる第一弾留学生)とは一緒に授業も受けていたので、とてもいい刺激になりました。

「他者」ではなく「一緒に」する関係性

司会:
留学生との交流の取り組みがどういうふうに発展していけばいいと思いますか?

井出さん:
私は2017年に「君の知らないアフリカ」をテーマにしたイベント「アフリカンウィークス2017」 の実行委員長をやっていたのですが、その時に感じたのは外大でアフリカ関連のイベントを開いたりする際に、今のままだと、アフリカに生きている人たちの声が直接はあんまり反映されていなくて、アフリカをある意味、客体化しているんじゃないかなって思うところがあるんです。でも留学生をいっぱい招いて一緒に授業なりイベントなりを作り上げていき、そこにアフリカからの留学生にも主体的にかかわってもらえれば、アフリカを学ぶ機関として、アフリカを客体化しない、一緒に何かを作り上げていけるような関係性がもっと築けるんじゃないかなと思います。

司会:
アフリカを客体化するという点は、個々のアフリカからの留学生と接することで変わっていくことがあると思いますか?

井出さん:
そうですね。私たち自身がアフリカの人の生の声を聴くことで変わることがあると思います。それがイベント自体の枠組みに反映されれば、私たちが発信する立場に立った時にも変化があるんじゃないかなと思います。

(Part2に続く)