教員の紹介

研究者情報
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学位
博士(理学)
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担当授業科目
生体材料化学
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専門分野
分析化学,光化学,分光学,ナノバイオ
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研究テーマ
光を駆使したエキゾチックな現象探索と新しい計測技術の開拓、例えば、光によるタンパク質のその場結晶化法に関する研究、光誘起単一微粒子を分析場とした微量物質分析法の開発に関する研究、単一液滴物性分析など
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研究内容キーワード
光ピンセット/レーザー捕捉,顕微分光?顕微イメージング,結晶化,相転移?相分離,自己組織化,ナノバイオ
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所属学会
日本分析化学会,応用物理学会,日本化学会
研究室の概要
分析化学研究室は、教員である三浦の着任に伴い、2025年10月より設立された新しい研究室です。
本研究室では、光ピンセットと顕微分光?顕微イメージングを活用し、光を駆使したエキゾチックな新規現象の探索と、新しい計測?分析技術の開拓を目指した研究を行っています。
また、こちら北見工大では、当研究室の顕微計測技術と情報科学を融合し、測定データから新しい知識や価値を引き出す計測インフォマティクスにも取り組んでゆきます。
教員(三浦)は応用化学系に所属していますが、データサイエンスユニットも担当予定です。化学系の学生だけでなく、生体材料に興味のあるバイオ系や機械?エネルギー系の学生、インフォマティクスと計測の融合に関心のある情報系の学生も幅広く受け入れる予定です。
新しい研究室で、一緒に新たな知の創出に取り組んでくれる学生の参画を期待しています。
https://www.mtrl.kitami-it.ac.jp/bunseki/
研究室の研究テーマ
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レーザー捕捉法によるリアルタイムタンパク質結晶化法の開拓
タンパク質の機能は、その立体構造と密接に関係しています。そのため構造解析は生命科学や創薬研究において不可欠ですが、タンパク質結晶の作製は依然として困難な課題です。
本研究では、レーザー捕捉(光ピンセット)技術を活用し、非接触?高精度な局所操作による簡便な結晶化手法の開発を進めています。最近、モデルタンパク質であるリゾチームにおいて、レーザー照射によりタンパク質溶液中で液液相分離(LLPS)を誘起し、短時間かつ高効率で結晶を形成?成長させることに成功しました。
現在、この知見をもとに、さまざまなタンパク質種で適用可能な汎用的なリアルタイム結晶化技術の確立を目指しています。
(図 レーザー捕捉誘起結晶化法により液?液相分離を経て結晶化したタンパク質分子) -

光誘起単一高分子微粒子を分析場とする単分子レベル超高感度分析
温度応答性高分子ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)とアルコールを含む混合水溶液に、1064nmの集光レーザーを照射すると、局所的な光熱効果により相分離が誘起され、直径約10?mの単一微粒子(液滴)が形成されます。
我々はこの光誘起微粒子を分離?濃縮?分析の場として活用することで、溶液中に分散した極めて低濃度(10??? Mレベル)の溶質分子を単一分子レベルで抽出?検出可能であることを実証しました。
このような単一分子レベルの抽出分析は未踏の計測領域であり、現在、微量生体物質の高感度分析法への応用を視野に入れた基礎研究を展開しています。
(図 レーザー誘起単一高分子微粒子への一分子抽出の実験結果と、一分子抽出の模式図) -

単一エアロゾル液滴を計測場とした“intrinsic”な液体物性の解明
水の凝固点は0℃であることは常識として知られています。しかし、空気中に浮遊するマイクロメートルサイズの水滴(エアロゾル)は、?50℃以下でも凍らずに過冷却液体として存在することが知られています。
我々は最近、水以外の有機液体においても、エアロゾル化により容易に過冷却液体化し、凝固点よりはるかに低い温度まで凍らないことを明らかにしました。さらに、液滴サイズに依存して粘度が変化するという、従来の液体物性では見られない新たな現象を世界に先駆けて発見しました。
現在、このような“常識”と異なる物性の発現機構の解明と、エアロゾル液滴を利用した本質的(intrinsic)な液体物性の理解を目指した研究を進めています。
(図 微小液滴(エアロゾル)化による液滴物性変化の例。(a)ジメチルスルホオキサイド(DMSO):粘度の温度依存性,(b)エタノール:粘度のサイズ依存性)
